『じじつはじじつ。ほんとうのことだよ。』
- saorik273
- 7月12日
- 読了時間: 3分
――絵本から考える、“ほんとうのこと”ってなんだろう?
今日は、珍しく(笑)ある一冊の絵本を紹介したくて筆をとりました。
イマジネーションプラスさんから出版されている、
ジョナ・ウィンター 文 × ピート・オズワルド 絵の
『じじつはじじつ、ほんとうのことだよ』という絵本です。
このタイトル、すごくストレートだけど、読んでみると……
「え?どういうこと?」って一瞬混乱しちゃうんです(笑)
私の読解力の問題か!?って一瞬思いましたが、違いました
とにかく奥の深い絵本
2回目に読んだとき、
なるほど!!!とものすごく納得したのを覚えている絵本です
小さな「じじつくん」の物語
主人公は、小さな小さな“じじつくん”。
でも彼の言葉は、誰にも信じてもらえない。
うそなんかついてないのに、「うそつきだ」と言われてしまうんです。
そして、偉そうな人たちに地下に埋められてしまう。
でもその地下には、**他にもたくさんの“じじつたち”**が閉じ込められていた……。
地上では、じじつが埋もれている間に、
偉い人たちが“うその世界”をどんどん作り変えていく。
まるで、うそがしんじつかのように見える世界になってしまうんです。
だけど、あるとき地上の人たちが気づき始める。
「なんか…おかしくない?」
そしてじじつたちを探し出し、
「ぼくがほんとうのじじつだ!」「いや、わたしが!」と騒ぎ始める世界の中で、
じゃあ、あなたはどの“じじつ”を信じますか?
と問いかけられる――そんなお話です。
コロナ禍と「じじつ」の捉え方
この絵本を初めて読んだとき、正直よく意味が分かりませんでした。
でも、コロナが少しずつ落ち着いてきて、
子どもたちが外へ出るようになった頃、もう一度読んだら、
すごく腑に落ちたんです。
たとえば、マスクをするかしないか。
「絶対すべき!」って思う人もいれば、
「外ではもう外していいよね」って思う人もいる。
どっちも、“その人にとってのじじつ”。
ニュースで「今日は感染者が◯人」と聞いて心配になる一方で、
学校や職場、スーパーで買い物する日常もある。
どっちが正しくて、どっちが間違いかじゃない。
「自分がどのじじつを選ぶか」ってことが大事なんだなって、気づかされました。
他人の“じじつ”を尊重すること
私たちはつい、自分の正しさを相手に押しつけがちです。
でも、その人にとっての“じじつ”*がある。
どっちもうそじゃないし、間違いでもない。
その選択をどうするかは、その人自身が決めること。
この絵本は子ども向けに描かれているけれど、
大人こそ読むべき一冊かもしれません。
一発で「なるほど!」って分かる人は少ないかもしれないけど、
何度か読んで、自分の体験と重ねながら読み返すと、
じわじわと沁みてきます。
最後にひとこと
「じじつはじじつ。ほんとうのことだよ。」
この言葉が、今の時代により深く響いてくるなと思います。
目に見える情報が多すぎる今だからこそ、
「何を選んで、どう受け取るか」を大切にしていきたい。
誰かの“じじつ”を否定するのではなく、
「そう思う人もいるんだね」と受け止める優しさを、
私自身も持ち続けたいなと思っています。
そしてこのブログも、あくまで私なりの解釈です。
読む人の経験や立場によって、きっといろんな受け取り方があるはず。
だからこそ、絵本っておもしろいし、奥深いんだなあと感じています。





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