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『じじつはじじつ。ほんとうのことだよ。』

――絵本から考える、“ほんとうのこと”ってなんだろう?


今日は、珍しく(笑)ある一冊の絵本を紹介したくて筆をとりました。

イマジネーションプラスさんから出版されている、

ジョナ・ウィンター 文 × ピート・オズワルド 絵の

『じじつはじじつ、ほんとうのことだよ』という絵本です。


このタイトル、すごくストレートだけど、読んでみると……

「え?どういうこと?」って一瞬混乱しちゃうんです(笑)

私の読解力の問題か!?って一瞬思いましたが、違いました

とにかく奥の深い絵本


2回目に読んだとき、

なるほど!!!とものすごく納得したのを覚えている絵本です



小さな「じじつくん」の物語



主人公は、小さな小さな“じじつくん”。

でも彼の言葉は、誰にも信じてもらえない。

うそなんかついてないのに、「うそつきだ」と言われてしまうんです。


そして、偉そうな人たちに地下に埋められてしまう。

でもその地下には、**他にもたくさんの“じじつたち”**が閉じ込められていた……。


地上では、じじつが埋もれている間に、

偉い人たちが“うその世界”をどんどん作り変えていく。

まるで、うそがしんじつかのように見える世界になってしまうんです。


だけど、あるとき地上の人たちが気づき始める。


「なんか…おかしくない?」


そしてじじつたちを探し出し、

「ぼくがほんとうのじじつだ!」「いや、わたしが!」と騒ぎ始める世界の中で、

じゃあ、あなたはどの“じじつ”を信じますか?

と問いかけられる――そんなお話です。





コロナ禍と「じじつ」の捉え方



この絵本を初めて読んだとき、正直よく意味が分かりませんでした。

でも、コロナが少しずつ落ち着いてきて、

子どもたちが外へ出るようになった頃、もう一度読んだら、

すごく腑に落ちたんです。


たとえば、マスクをするかしないか。

「絶対すべき!」って思う人もいれば、

「外ではもう外していいよね」って思う人もいる。


どっちも、“その人にとってのじじつ”。


ニュースで「今日は感染者が◯人」と聞いて心配になる一方で、

学校や職場、スーパーで買い物する日常もある。


どっちが正しくて、どっちが間違いかじゃない。

「自分がどのじじつを選ぶか」ってことが大事なんだなって、気づかされました。



他人の“じじつ”を尊重すること



私たちはつい、自分の正しさを相手に押しつけがちです。

でも、その人にとっての“じじつ”*がある。

どっちもうそじゃないし、間違いでもない。


その選択をどうするかは、その人自身が決めること。


この絵本は子ども向けに描かれているけれど、

大人こそ読むべき一冊かもしれません。


一発で「なるほど!」って分かる人は少ないかもしれないけど、

何度か読んで、自分の体験と重ねながら読み返すと、

じわじわと沁みてきます。



最後にひとこと



「じじつはじじつ。ほんとうのことだよ。」


この言葉が、今の時代により深く響いてくるなと思います。

目に見える情報が多すぎる今だからこそ、

「何を選んで、どう受け取るか」を大切にしていきたい。


誰かの“じじつ”を否定するのではなく、

「そう思う人もいるんだね」と受け止める優しさを、

私自身も持ち続けたいなと思っています。


そしてこのブログも、あくまで私なりの解釈です。

読む人の経験や立場によって、きっといろんな受け取り方があるはず。

だからこそ、絵本っておもしろいし、奥深いんだなあと感じています。



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